こんにちは。藤井です。
今回はイタリア生地、その中でも5大ブランドをご紹介します。生地の生産地で世界3大生産地は下記の産地です。
この3ヶ所は世界3大毛織物産地と称されています。
尾州とは愛知県尾張西部から岐阜県西濃地区までの地域の総称です。世界3大毛織物産地の一つに日本が入ってるのは誇らしいですが、日本の生地の話はまた別の機会にして、今回はイタリアの生地の5大ブランドについてお話ししていきますね。
生地が有名なのはイタリアとイギリスです。我々テーラーで扱っている多くの生地はこの二カ国がほとんどと言え、+ヨーロッパの国の生地です。もちろん日本の生地も扱ってますが、主力はやはりイタリア、イギリスの生地です。
そんな中で今回お伝えしたいのがイタリア5大生地メーカー。名前くらいは聞いた事があるかもしれませんが、5大メーカーのその特徴をお伝えしていきます。
イタリア5大生地メーカー
イタリアは生地で有名ですが、その中でも5大ブランドと言われる生地ブランドをご紹介していきます。
Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)社
まず最初に来るのはやはりゼニアでしょう。
正式名称はエルメネジルド・ゼニアで、ちょっと舌を噛みそうですよね。わたしもラストネームを覚えるのに少し時間がかかりました(笑)
1910年ミラノ近郊のトリヴェロにて創業された最高級服地メーカーです。プレタポルテ(既製服)のファッションブランドでもあります。オーストラリア・ニュージーランドの原産国から最高級の天然繊維を買い付け、自社で生産し世界に向けて生地を供給しています。
供給先には「アルマーニ」「トムフォード」「キートン」「エルメス」「ヒューゴボス」「ラルフローレン」「ブリオーニ」など世界に名だたるハイブランドも使用しています。なんと、高級紳士服の30%はゼニアの生地と言われています。
ここではZegnaの生地レーベルを3つほどお話ししておきますね。
【TROPICAL:トロピカル】
ゼニア社のトロピカルは夏を代表するレーベルのひとつです。
繊維の細い強撚糸(撚りの強い糸)を使用する事で、軽く吸湿性の高い糸になっているため、暑い夏にピッタリな涼しさを感じる素材です。2月くらいに出てくる春夏物の生地の主力商品です。
【ELECTA:エレクタ】
ゼニア社のエレクタは秋冬の中でも定番中の定番と言われるするレーベルです。
丈夫さと高級感を兼ね備えた生地なので、スーツを日常的に着るビジネスマンを中心にオーダースーツ初心者からリピーターの方まで、多くの方に支持されているロングラン素材です。秋冬にゼニア生地で迷ったらエレクタを選んでおけば、まずは外れないでしょう。
この「エレクタ」は秋冬用の生地であるにもかかわらず、軽くしなやかな手触りに仕上がっているため生地の厚みを感じさせません。それなのに、真冬はもちろんのこと、肌寒さを感じる秋口から温かさを感じ始める春先まで、長い期間快適に着ることができます。
【TRAVELLER:トラベラー】
「トラベラー」というネーミングは「トラベル」から来ています。その名の通り、旅行や出張に向けた生地です。
出張先でシワになった上着を一晩ハンガーにかけておけば、翌朝にはおおよそ元の状態に回復しています。これは強く撚ったダブルツイスト糸(双糸・・・2本の糸を撚り合わせ1本の糸にしたもの)を使用し、生地に織り上げる段階で防シワ・摩擦加工を施しているためです。1m辺りの目付が250gと軽めで、最も寒い時期を除けば通年で着て頂ける素材です。
Loro Piana (ロロ・ピアーナ)社
次はLoro Piana(ロロ・ピアーナ)です。Zegnaと双璧と言われてるイタリア2大ブランドのうちの一つです。
ロロ・ピアーナは1924年にピエトロ・ロロピアーナがイタリアのクアローナで創業した老舗の生地メーカーです。
こだわり抜いた最高級の原料から最高品質の生地を生み出すことで有名です。現在は生地だけでなく、アパレル分野、インテリア分野にも進出しトータルでライフスタイルを展開するラグジュアリーブランドです。
Loro Piana ( ロロ・ピアーナ)の特徴は?
ロロ・ピアーナの特徴は最高級の原料を使用しているため、手触りが「非常に柔らかく」、「滑らかな手触り」です。生地に触れると良さが実感できます。
手触りだけでなく、原毛の良さから「上質な艶感」と「高級感」そして「着用した際の軽さ」が特徴です。ロロ・ピアーナはウール素材と同じく最高級のカシミヤを扱うことでも有名です。 そのカシミヤは「繊維の宝石」と呼ばれ、世界の最高級のカシミヤの約30%はロロ・ピアーナのカシミヤと言われています。
また、カシミアよりさらに高級なビキューナ素材も取り扱っており、わたしの中では上質な生地=ロロ・ピアーナです。
2020年に銀座にオープンしたロロ・ピアーナの店舗にて触ることができますので、体験してみるのもいいでしょう。驚くほどの触り心地と、驚くほどの値段にあなたはびっくりすることでしょう。
FRATELLI TALLIA DI DELFINO(フラッテリ・タリア・ディ・デルフィノ)社
1903年にイタリア・ビエラ地方で創業した老舗の服地メーカーです。社名の「FRATELLI TALLIA DI DELFINO」は創業者のデルフィノ・タリア以降5代にも渡って一族での
経営が続けられている事からきており、イタリアでは「Ermenegildo Zegna」「Loro Piana」と並ぶ「イタリア3大ミル」と称されています。
数々の世界的ブランドやメゾンに使用されており、日本での知名度こそ上記の2社には劣りますが、最新鋭の設備と技術による一貫生産体制の下で最高級の原料のみを使って生産されるハイクオリティな生地は3大ミルの名に相応しいものです。
こちらの生地はウールにカシミアを混紡したジャケット生地になりまして、
シットリと落ち着いたブルーグレーのハウンドトゥースが美しい色柄となっています。
こういったシンプルな色とパターンで織り上げる柄では、
縦糸、横糸それぞれを構成する色糸の組み合わせやその柄を構成するサイズなどで
全く違う印象の生地になります。
そこを美しく見せて凡庸に陥らない色出しや柄の上手さはまさしくセンスだと言え、
流石デルフィノだと思います。
CERRUTI(チェルッティ)社
チェルッティは1967年に設立されたイタリアのビエラ地方で設立された
高級服地メーカーであり、プレタポルテのファッションブランドでもあります。
日本ではゼニア、ロロピアーナがブランディングとして成功していますので、
それに比べるとまだまだと思われますが、本国での格は同格か
それ以上のポジションにある、最上級クラスのみを作り続ける、
超優良生地メーカーなのです。
チェルッティが世界的に評価が高いのは、自分で糸から作ることができ、
それを使って織り上げることができる「一貫紡」の
数少ないメーカーであることです。
CARLO BARBERA(カルロ・バルベラ)社
カルロバルベラは1949年イタリア北部のビエラ地区で創業しました。
「品質のバルベラ」と言われ、手間を惜しまず効率を無視したような工程や
手作業によってこだわって生産されています。
その最たるものは糸のエージングにあります。
最上級の糸を買い付け、その糸の緊張を解くために
地下倉庫にいったん寝かします。
この地下倉庫は岩を切り出して作られた天然倉庫で、
川から水を引きウールに最適な環境(気温7℃・湿度75%)に
1年中保たれここで半年から1年ほど寝かしつけます。
これは糸本来の特性を引き出すための重要な工程になります。
そして寝かしつけたその糸をあえて高速織機を使わずにゆっくりと織り上げます。
それにより空気を含む柔らかな風合いのバルベラの生地が誕生します。
まとめ
この5大生地メーカーの生地はそれなりの価格はしますが、迷ったら選んでおけば間違いない一流の生地です。
私もこれらの生地でスーツやジャケットを作り着てみましたが、どの生地も光沢感があり、軽やかでいい艶感を演出してくれます。
イタリアらしい色気が漂っておりますので、イタリア好きな方はこの生地の中から洗濯してみてはいかがでしょうか?